手数料
ファクタリングの手数料相場|2社間・3社間の計算方法と内訳
ファクタリングを検討するとき、多くの事業者が最初に気にするのが「手数料はどのくらい取られるのか」という点です。手数料は契約形態・売掛金の金額・売掛先の信用力・審査結果によって変動するため、断定的な相場を示すことはできません。この記事では、その数字がどこから来ているのかを明示したうえで目安を示し、あわせて内訳、法令で金額が定まっている実費、年率に換算した場合の見え方、抑えるための実践ポイントまでを整理します。
手数料の相場はどこから来た数字か
最初に、この記事がよそのサイトと違うところをはっきりさせておきます。ファクタリングの手数料相場を数値で公表している公的機関は、確認したかぎり存在しません。
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」は、給与ファクタリングを装うヤミ金について「年率換算すると数百〜千数百%になる手数料」と述べていますが、正規の事業者向けファクタリングの料率については数値を示していません
- 金融庁「高額な手数料によるファクタリングの利用に関する注意喚起」も「高額な手数料を支払うと、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性があります」と促すのみで、何%からが高額なのかという数値は書かれていません
- 消費者庁の注意喚起、中小企業基盤整備機構のJ-Net21も、ファクタリングに触れてはいるものの料率の数値は示していません
数値に触れている数少ない公的資料は、中小企業庁「支払条件の改善に向けた取組及び課題について」(令和2年7月31日・資料4)の有識者ヒアリングです。ここには金融サービス事業者の発言として、次のように記録されています。
フィンテック企業が提供するファクタリングは100万円程度の小口がメインで、銀行からの融資を受けられないような事業者を対象としている。手数料は5%/月だが、年率にすると60%となり、貸金業法に照らすと高額。これは小口のため事務費がどうしてもかさむことによる。
ただしこれは単一の発言であり、2社間・3社間別のレンジではありません。同じ検討会(第5回)にオンライン型ファクタリング事業者のOLTA株式会社が提出した資料には、自社の「買取手数料は2〜9%」という記載がありますが、これは1社の商品条件です。
つまり、ネット上で繰り返される「2社間は8〜18%」といった数字に、たどれる公的な出所はありません。そこで当サイトでは、手数料の目安を「当サイトが掲載している24社の公表値」から算出しています。自社データを根拠にする以上、その中身も開示します。
手数料の目安(当サイト掲載24社の公表値ベース)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 母数 | 当サイト掲載のファクタリングサービス24社 |
| 各社の公式サイトの確認日 | 19社が2026年7月29日、2026年8月27日に追加した5社が同日 |
| 下限を公表している社数 | 21社(メンターキャピタル・資金調達本舗・CoolPayの3社は「要問い合わせ」) |
| 下限の分布 | 0.5%〜10%(中央値 2%) |
| 上限を公表している社数 | 11社(10社は「◯%〜」と表示し上限を示していない) |
| 上限の分布 | 8%〜20%(中央値 10%) |
| 契約形態 | 24社中13社が2社間中心と明示。残る11社は契約方式欄を「要問い合わせ」と表示しています。内訳は、2社間・3社間の双方に対応すると案内している7社(AGビジネスサポート・ベストファクター・DMCファクタリング・KISマネジメント・RFD。トラストゲートウェイと財務再生支援センターは料率表そのものを契約形態別の列で公表)、自社で公表している取引事例に3社間の回があるKENSHINファクタリング、公式サイトに契約方式を定めた記載が見当たらない3社(プロテクトワン・メンターキャピタル・besus。besus は自社サイトに記載がなく、同社の別ブランド Asap のトップページが3社間も利用できると案内しています)です |
この下限・上限それぞれの中央値をとると、次のようになります。
| 契約形態 | 手数料の目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2社間ファクタリング | おおむね2〜10% | 掲載24社の公表下限の中央値2%・公表上限の中央値10% |
| 3社間ファクタリング | 数値の目安は示していません | 3社間の料率を公表している社は5社あるが、公表のしかたが社ごとにばらばらで横並びの中央値を出せる形になっておらず、公的機関の公表値もないため(後述) |
下限の2%を予算の前提にしないでください
この目安を読むうえで、いちばん誤解が生じやすいのが左端の2%です。下限は最も条件の良い取引での数字であり、申し込めば適用される料率ではありません。 各社が掲げる「1%〜」「0.5%〜」といった表示も同じで、売掛先が上場企業や官公庁に近い信用力を持ち、金額もまとまっていて、取引実績もある——といった条件がそろったときの到達点として置かれています。少額・初回・売掛先が小規模といった条件が重なるほど、提示は目安の上側に寄ります。
したがって資金計画は下限ではなく上限側(10%近辺)で立てるのが安全です。下限で組んだ計画は、実際の提示が目安の中ほどに来ただけで崩れます。下限に近い条件を引けたらその分は余裕として扱う、という順序で考えてください。
目安から外れる提示の読み方
この目安の外側に出る提示が、ただちに違法・悪質というわけではありません。掲載24社のなかにも、上限20%を公表しているベストファクターがあります。重要なのは目安から外れていること自体ではなく、なぜその料率になるのかを説明してもらえるかどうかです。
ここでもうひとつ訂正があります。 この記事は少し前まで、上限の外側の例としてCoolPayを名指しし、その手数料を「10%〜30%」と書いていました。2026年7月29日にCoolPayの公式サイト(トップ・ご利用ガイド・利用規約・プライバシーポリシーなど7ページ)を確認したところ、料率の数字はどこにも掲載されていませんでした。同社が公表しているのは「審査が完了すると買取額及び手数料が提示されます」という手順までです。出所を確認できない数字を当サイトの集計(上限の分布)に含めていたことになるため、この30%は分布から除外し、CoolPayの手数料欄は「要問い合わせ」に改めました。上の「上限の分布 8%〜20%」は、この修正後の数字です。
同じように、公式サイトを確認しても料率の記載が見当たらず、当サイトの手数料欄を「要問い合わせ」としている社が3社あります(メンターキャピタル・資金調達本舗・CoolPay)。料率が公表されていないサービスでは、提示を受けるまで水準が分かりません。 見積もりを取るまでコストが読めない点も含めて比較してください。
ただし「掲載各社の公表上限までは相場の内側」という読み方はしないでください。高い側の判断は、手数料率ではなく年率換算で行います。詳しくは後述の「高すぎる手数料は年率換算で見分ける」で、判定の基準とあわせて解説します。
3社間の数字を書いていない理由
まず以前の記述を訂正します。 この記事は少し前まで「3社間だけを切り出した料率を公表しているサービスは掲載19社に1社もない」と書いていました。2026年7月29日に当時の掲載各社の公式サイトを1社ずつ読み直した結果、これは誤りで、実際には5社が3社間の料率を公表していました。
各社の公表内容は次のとおりです(いずれも2026年7月29日に各公式サイトで確認。リンク先が一次情報です)。
| サービス | 3社間として公表されている内容 | 確認したページ |
|---|---|---|
| 株式会社No.1 | 0.5%〜5%(2社間は0.5%〜15%と別枠で表示) | ファクタリングご利用条件 |
| ペイブリッジ | 0.5%〜(下限のみ。2社間は3.5%〜と別枠で表示) | ペイブリッジについて/運営会社のサービス案内 |
| 財務再生支援センター | 利用額の帯ごとの表(最も安い帯で0.5%〜) | 公式サイトのPriceセクション/運営会社のよくある質問は0.5%〜10.5% |
| トラストゲートウェイ | 金額帯ごとの平均値の表(100万円で8%/300万円で5%/1,000万円で4%/3,000万円で1.5%) | 買取手数料について |
| ネクストワン | 同一サイト内に「1.5%〜7%」「1.5%〜8%」「平均1.5%〜4%」の3通りが併存 | 手数料/選ばれる理由/よくある質問 |
それでも当サイトが3社間の目安レンジを示さないのは、書ける根拠がないという結論自体は変わらないからです。上の表のとおり、下限しか出していない社、金額帯ごとの表を出している社、自社サイト内で数字が食い違っている社が混在しており、5件を平均したり中央値を取ったりしても、読者が自分の案件に当てはめられる数字にはなりません。2社間の目安は21社の下限と11社の上限から取っていますが、それと同じ扱いをするには母数も形式も足りていません。上の表は「その5社が自社の条件として公表している内容」であって、当サイトが算出した相場ではない、という位置づけで読んでください。
一般に3社間のほうが低くなりやすいという傾向自体は、回収リスクの構造から説明できます(後述の「2社間と3社間で差が出る理由」を参照)。ただしどのくらい低いのかを当サイトが数字で断定する根拠はありません。
なお、当サイトが比較対象として掲載しているのは2社間中心のサービスです(掲載24社のうち13社は2社間中心と明示しています)。3社間を前提に各社を横並びで比較できる情報は、当サイトでは提供できていません。 3社間を検討する場合は、売掛先の承諾が得られる見込みを先に確かめたうえで、3社間の取り扱いがあるかを個別に各社へ確認し、同じ請求書で2社間の見積もりと差引後の入金額を並べて比べてください。
手数料の内訳(掛け目・諸費用)
「手数料10%」と一口に言っても、その中身は主に次のような要素で構成されているといわれます。
- 審査・与信管理コスト:売掛先の信用力を調べる審査、契約後の債権管理にかかる費用
- 回収リスクの対価:売掛先が支払わない(貸し倒れ)リスクをファクタリング会社が負う分のコスト。特に2社間で比重が大きくなりやすい
- 債権譲渡登記・印紙代:契約形態によっては債権譲渡登記や契約書の印紙代が必要になり、手数料や別費用として上乗せされることがある
- 振込手数料・システム利用料:入金時の振込手数料や、オンライン完結型サービスのシステム利用料が含まれる場合がある
ここで重要なのが「掛け目」という考え方です。掛け目とは、売掛金の額面に対して実際に買い取ってもらえる金額の割合を指します。例えば掛け目90%であれば、額面の90%を上限として買い取ってもらえる、という意味合いです。手数料と掛け目は似ているようで異なる概念で、会社によっては「掛け目◯%+手数料◯%」という形で提示されることもあれば、両方をまとめて「実質手数料」として提示されることもあります。見積もりを比較する際は、名目上の手数料率だけでなく、実際に何%差し引かれて、いくら入金されるのかという実質負担ベースで確認することが欠かせません。
実費はいくらか(登記費用・印紙税)
手数料の構成要素のうち、債権譲渡登記の登録免許税と契約書の印紙税は、法令で金額が定められている実費です。ここだけは会社ごとの裁量ではないため、見積もりの妥当性を確かめる手がかりになります。
債権譲渡登記の登録免許税
法人が売掛債権を譲渡する際、第三者に対抗するために債権譲渡登記を行うことがあります。法務省の公表によれば、この登記にかかる登録免許税は次のとおりとされています。
| 登記の種類 | 登録免許税(1件につき) |
|---|---|
| 債権譲渡登記・質権設定登記(債権個数5,000個以下) | 7,500円(租税特別措置法により軽減された額) |
| 債権譲渡登記・質権設定登記(債権個数5,000個超) | 15,000円 |
| 延長登記 | 3,000円(租税特別措置法により軽減された額) |
| 抹消登記・一部抹消登記 | 1,000円 |
登録免許税そのものは数千円から1万5千円程度で、実務上はこれに司法書士へ依頼する場合の報酬が別途加わるのが一般的です。報酬額は事務所によって異なるため、登記費用として何円が請求されているのか、その内訳(登録免許税+報酬)はどうなっているのかを確認しておくと安心です。
なお、債権譲渡登記は法人が譲渡人となる場合の制度であり、個人事業主は利用できません。また2社間であっても登記を留保する(登記を行わない)運用をとる会社もあり、オンライン完結型のサービスでは登記不要としているケースが少なくありません。登記の要否は契約形態と会社の方針によって変わるため、見積もり時に確認しましょう。
契約書の印紙税
債権譲渡契約書は、印紙税法上の第15号文書「債権譲渡又は債務引受けに関する契約書」に該当します。国税庁が公表する印紙税額一覧表によれば、税額は次のとおりです。
| 契約書の記載金額 | 印紙税額(1通につき) |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上 | 200円 |
| 契約金額の記載のないもの | 200円 |
印紙税は記載金額にかかわらず一律200円(1万円未満は非課税)で、譲渡する債権が100万円でも1億円でも変わりません。金額が大きいほど印紙代も上がる、という誤解が時折見られますが、第15号文書についてはそうではない点を押さえておきましょう。近年は電子契約を採用する会社も増えており、電子契約の場合は印紙税が課されないという整理が一般的です。
実費と手数料の関係
ここまでの実費を合計しても、登記を行う場合で1万円前後(+司法書士報酬)、登記を行わない場合は印紙税の200円程度にとどまります。一方、額面100万円の売掛金に手数料10%がかかれば、その額は10万円です。
つまり手数料の大部分は実費ではなく、審査コストと回収リスクの対価である、というのが実態です。「登記費用がかかるので手数料が高い」といった説明を受けた場合は、実費として何円かかるのかを具体的に確認すると、説明の妥当性を判断しやすくなります。
計算例で確認する
計算例1:100万円の請求書の場合
具体的な数字で確認してみましょう。額面100万円の請求書を、手数料10%でファクタリングした場合の計算はシンプルです。
- 売掛金の額面:100万円
- 手数料率:10%(目安)
- 手数料額:100万円 × 10% = 10万円
- 実際の受取額:100万円 − 10万円 = 90万円
このケースでは、10万円が手数料として差し引かれ、実際に口座へ入金されるのは90万円になります。資金計画はこの90万円を前提に立ててください。 条件がそろって目安の下限にあたる2%を引ければ手数料は2万円・受取額98万円ですが、それは最良ケースであって初期値ではありません。同じ「100万円の売掛金」でも、目安の幅の中だけで手取りは8万円変わります。
計算例2:500万円の請求書の場合(上限側で見積もる)
金額が大きくなっても計算の考え方は同じです。額面が大きいほど率の差が金額に効くので、こちらも目安の上限側で置いてみます。
- 売掛金の額面:500万円
- 手数料率:10%(掲載24社の公表上限の中央値)
- 手数料額:500万円 × 10% = 50万円
- 実際の受取額:500万円 − 50万円 = 450万円
売掛先の信用力が高く、目安の下限側である2%に収まれば手数料は10万円、受取額は490万円です。同じ500万円の売掛金で、その差は40万円。下限の2%で計画を立てて上限側を提示されると、40万円足りない状態から資金繰りを組み直すことになります。 額面が大きい取引ほどこの振れ幅は効いてくるため、計画は上限側で置き、事前に複数社の見積もりを比較してください。
計算例3:実費と振込手数料まで含めた「手取り」
実際の入金額を正確に把握するには、手数料に加えて実費まで含めて計算する必要があります。額面100万円・手数料10%・債権譲渡登記あり(登録免許税7,500円+司法書士報酬を仮に5万円と想定)・印紙税200円・振込手数料880円を利用者負担とした場合の例です。
- 売掛金の額面:1,000,000円
- 手数料(10%):−100,000円
- 登録免許税:−7,500円
- 司法書士報酬(想定額):−50,000円
- 印紙税:−200円
- 振込手数料:−880円
- 実際の受取額:841,420円(額面に対する実質負担 約15.9%)
名目上の手数料は10%でも、実費を含めた実質負担は約15.9%に達しています。司法書士報酬は事務所により異なるためあくまで想定値ですが、「手数料率」と「最終的に手元に残る金額」は別物であることがわかります。見積もりを比較するときは、必ず「差引後の入金額(手取り)」で並べてください。
この計算は実質年率シミュレーターでそのまま再現できます。金額や手数料率を変えて、自社の条件で試してみてください。
年率換算で見る手数料
ファクタリングの手数料を他の資金調達手段と比べたいとき、役立つのが年率換算という見方です。
計算式は次のとおりです。
年率換算(%)= 手数料率(%)÷ 支払サイト(日数)× 365
支払サイトとは、売掛金の入金予定日までの残り日数を指します。同じ手数料率でも、支払サイトが短いほど年率換算値は大きくなります。
| 手数料率 | 支払サイト30日 | 支払サイト60日 |
|---|---|---|
| 3% | 約36.5% | 約18.3% |
| 5% | 約60.8% | 約30.4% |
| 10% | 約121.7% | 約60.8% |
| 15% | 約182.5% | 約91.3% |
ここで極めて重要な注意点があります。この年率換算値は「金利」ではありません。 ファクタリングは債権の売買であって金銭の貸付ではないため、利息制限法や出資法が定める上限金利がそのまま適用される取引ではなく、上の数値をもって「違法な高金利だ」と判断できるものではありません。
それでも年率換算を見る意味は2つあります。
1つは、融資やビジネスローンと横に並べて比較できること。融資は年利で提示されるため、そのままでは手数料率と比べようがありません。年率換算に直せば、同じ物差しでコスト感を捉えられます。
もう1つは、継続利用したときの負担が見えやすくなることです。支払サイト30日の売掛金を手数料10%で毎月ファクタリングし続ければ、年間を通じた負担は年率換算値に近い水準になっていきます。単発の資金繰り対策としては合理的でも、常態化すると重い固定費になり得る、という判断材料になります。
金融庁も高額な手数料によるファクタリングの利用について注意喚起を行っています(ただし金融庁は、何%からが高額かという基準値は示していません)。年率換算で見て違和感のある水準になっていないかは、契約前に一度確認しておきたいポイントです。判定の目安は後述の「高すぎる手数料は年率換算で見分ける」で整理しています。
自分の条件で計算したい場合は、ファクタリング手数料 実質年率シミュレーターをご利用ください。額面・手数料率・支払サイトを入れると、実費込みの手取り額と年率換算値がその場で出ます。
2社間と3社間で差が出る理由
前述のとおり、2社間は3社間より手数料が高めになりやすいといわれます。その背景にあるのが「回収リスクの所在」の違いです。
2社間ファクタリングでは、売掛先はファクタリング契約の存在を知らないまま取引が進みます。売掛先からの支払いは、いったん利用者(自社)の口座に入金され、そこから利用者がファクタリング会社へ送金する、という流れになります。つまりファクタリング会社から見ると、「売掛先が支払うかどうか」に加えて「利用者が確実に送金してくれるかどうか」という二重のリスクを負うことになり、これが手数料に上乗せされやすい理由とされています。
一方、3社間ファクタリングでは売掛先も契約に加わり、支払期日に売掛先が直接ファクタリング会社へ支払います。利用者を経由しないため、回収リスクはその分下がり、手数料も低めに設定されやすいといわれます。ただし3社間は売掛先の承諾が必要になるため、取引先にファクタリング利用の事実を伝える必要があり、手続きにも時間がかかりやすいという制約があります。
つまり「2社間=スピードと秘匿性を優先し、その分コストを負担する」「3社間=コストを抑える代わりに、手続きの時間と売掛先への通知を受け入れる」という、トレードオフの関係にあると理解しておくとわかりやすいでしょう。
手数料が決まる5つの要素
同じ会社に申し込んでも、案件によって提示される手数料は変わります。査定で見られるとされる主な要素は次の5つです。
1. 売掛先の信用力 最も影響が大きいとされる要素です。上場企業・官公庁・大手企業向けの債権は回収可能性が高いと判断されやすく、手数料は低めになりやすいといわれます。逆に、設立間もない企業や与信情報の乏しい相手先への債権は、高めに見積もられる傾向があるとされます。
2. 支払サイトの長さ 入金予定日までの期間が長いほど、その間の未回収リスクを負う期間も長くなるため、手数料は上がりやすいとされます。おおむね30〜60日程度が一般的で、90日を超える債権は敬遠されたり条件が厳しくなったりすることがあるといわれます。
3. 売掛金の額面 少額の債権は、審査や事務にかかる固定的なコストの割合が相対的に大きくなるため、料率が高くなりやすいとされます。まとまった金額のほうが率としては有利になりやすい傾向があります。
4. 利用回数・取引実績 同じ会社を継続的に利用し、過去の入金が滞りなく行われている場合、2回目以降の条件が改善されるケースがあるとされます。初回は情報が少ないぶん保守的な条件になりやすい、という見方もできます。
5. 契約形態(2社間・3社間)と登記の有無 前述のとおり3社間のほうが低くなりやすく、また債権譲渡登記を行うかどうかもリスク評価に影響するとされます。登記を留保する条件のほうが、利用者にとっては手続きが簡便な一方、会社側のリスクは上がるため料率に反映されることがあります。
自社でコントロールしやすいのは「どの売掛先の債権を出すか」と「いつ申し込むか(支払サイトが長いうちに動くか)」の2点です。複数の請求書がある場合、最も信用力の高い売掛先の債権を選んで出すことが、実務上もっとも効きやすい工夫といえます。
手数料を抑える実践ポイント
手数料は会社・案件ごとの個別事情で決まるため、必ず安くなる方法はありませんが、一般的に次のような工夫が挙げられます。
- 可能であれば3社間を検討する:売掛先の理解が得られる関係であれば、3社間のほうが手数料を抑えやすい傾向があるとされる
- 信用力の高い売掛先の債権を選ぶ:上場企業や大手企業向けの売掛金など、売掛先の信用力が高いほど手数料は低めになりやすいといわれる
- 売掛金額をまとめる・継続利用を検討する:少額を都度申し込むより、まとまった金額や継続的な取引のほうが優遇されるケースがあるとされる
- 複数社から相見積もりを取る:同じ売掛金でも会社によって提示条件は異なるため、2〜3社を比較するだけで実質負担が下がることがある
- 手数料の内訳を書面で確認する:総額でいくら差し引かれるのかを事前に把握し、想定外の追加費用がないかを確認する
- 支払サイトに余裕があるうちに動く:期日直前の駆け込みは選択肢が狭まり、条件面で不利になりやすい
いずれも「絶対に安くなる」保証はなく、最終的な料率は審査結果次第です。急ぎでない資金需要であれば、時間をかけて複数社を比較検討することが、結果的に手数料を抑える一番の近道になります。
見積書で必ず確認する項目
複数社の見積もりを並べるとき、名目上の手数料率だけを見比べると判断を誤ることがあります。契約前に、最低限次の項目を書面で確認してください。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 差引後の入金額 | 「手数料率」ではなく、最終的に口座へ振り込まれる金額はいくらか |
| 手数料の内訳 | 買取手数料・事務手数料・審査料などの区分と、それぞれの金額 |
| 掛け目の有無 | 額面の全額が買取対象か、一部が留保(掛け目)されるのか |
| 債権譲渡登記の要否と費用 | 登記を行うか、行う場合の登録免許税と司法書士報酬はいくらか |
| 振込手数料の負担者 | 利用者負担か会社負担か。負担者の記載がないケースもある |
| 入金予定日 | 「最短」ではなく、この案件で実際にいつ入金されるのか |
| 償還請求権の有無 | 売掛先が支払わなかった場合、買戻し義務を負うのかどうか |
| 追加費用の有無 | 出張費・キャンセル料・保証料など、契約書に記載のない費用の請求がないか |
このうち償還請求権の有無は、コスト以前に取引の性質そのものに関わる項目です。売掛金の売買であれば、売掛先が支払わないリスクはファクタリング会社が負うのが原則とされます。買戻しを義務づける条件が付いている場合、実質的な貸付に近い取引となっている可能性があるため、慎重な確認が必要です。詳しくは違法・悪徳業者の見分け方で解説しています。
高すぎる手数料は年率換算で見分ける
警戒ラインを「手数料率が何%か」で引くのはおすすめしません。同じ手数料率でも支払サイトが短いほど実質的な負担は跳ね上がるうえ、掲載各社の公表上限を基準にすると「どこかの会社が出している一番高い数字までは相場のうち」という理屈になってしまい、判断の物差しとして役に立たないためです。
見るべきは年率換算値です。 当サイトの実質年率シミュレーターは、年率換算150%以上を「要確認」の水準として扱っています。額面・手数料率・支払サイトを入れれば、実費込みの手取り額とあわせてその場で判定できます。
| 提示された手数料 | 支払サイト30日なら年率換算 | 判定 |
|---|---|---|
| 5% | 約61% | 中程度 |
| 10% | 約122% | 高め |
| 15% | 約183% | 要確認 |
| 25% | 約304% | 要確認 |
たとえば額面100万円・支払サイト30日で手数料25%を提示されると、手取りは75万円、年率換算では約304%になります。手数料率だけを見ていると「25%」は各社の公表上限の内側に見えてしまいますが、年率換算に直せば水準の異常さがはっきりします。前掲の目安(2〜10%)は「よくある提示はこのあたり」を示すものであって、どこからが危険かを判定する線ではありません。
金融庁は「高額な手数料によるファクタリングの利用に関する注意喚起」を公表しており、ファクタリングを装いながら実質的に高金利の貸付に近い条件を課す悪質な業者の存在に注意を呼びかけています(ただし金融庁は何%からが高額かという基準値は示していません。上の150%という区切りは、当サイトのシミュレーターが用いている整理です)。
特に、額面に対して極端に高い手数料を差し引く、分割払いや据置き期間を設けて実質的に貸付のような条件を持ちかける、契約書を交付しない、手数料の内訳を説明しない、といった対応をする業者には警戒が必要です。中には、繰り返し利用させることで年利換算すると非常に高コストになるケースもあるとされます。少しでも違和感を覚えたら、その場で契約せず、税理士や弁護士など専門家に相談することをおすすめします。悪質な業者の具体的な見分け方については、悪徳業者の見抜き方で詳しく解説しています。
即日と手数料のトレードオフ
「今日中にどうしても資金化したい」というスピード重視のニーズと、「手数料をできるだけ抑えたい」というコスト重視のニーズは、しばしばトレードオフの関係になります。オンライン完結型で審査から入金までを最短即日〜数時間で行うサービスは、迅速な審査・回収体制を維持するコストが手数料に反映されやすく、じっくり時間をかけて売掛先も交えて進める3社間よりも、手数料が高めになりやすい傾向があるといわれます。
急ぎの支払いに間に合わせる必要がある場面ではスピードを優先し、時間に余裕がある場合はコストを優先する、というように、自社の資金繰り状況に応じて優先順位を決めることが大切です。即日資金化の仕組みや注意点については、ファクタリングの即日入金で詳しく解説しています。
主要なサービスの手数料の目安と入金スピードは、次の表で横並びに比較できます。
サービス比較
同じ条件での上位候補。数値で横並び比較できます。
| # | サービス | 最短入金 | 手数料/金利 | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | QuQuMo(ククモ) ファクタリング | 最短2時間 | 1%〜 | 相談 → |
| 2 | labol(ラボル) ファクタリング | 最短30分 | 一律10% | 相談 → |
| 3 | ペイトナー ファクタリング | 最短即日 | 一律10%(別途振込手数料250円) | 相談 → |
まとめ
ファクタリングの手数料は、2社間でおおむね2〜10%が目安です。これは公的機関が公表した数値ではなく、**当サイト掲載24社の公表下限の中央値(2%)と公表上限の中央値(10%)**から算出したものであり、売掛金額・売掛先の信用力・審査結果によって変動します。押さえておきたいのは次の4点です。
- 相場に公的な出所はない:金融庁も消費者庁も、正規のファクタリングの料率について数値を示していません。数字を見かけたら、それが誰の集計なのかを確かめてください
- 3社間の数値は当サイトでは示していません:3社間の料率を公表している社は掲載24社のうち5社ありますが、下限のみ・金額帯別の表・同一社内で食い違う数字が混在しており、横並びの中央値を出せる形になっていないためです。2社間より低くなりやすい傾向はありますが、幅を数字で断定する根拠がありません
- 実費と手数料は別物:登録免許税(債権個数5,000個以下で7,500円)や印紙税(一律200円)は法令で定まった金額で、手数料の大部分は審査コストと回収リスクの対価です
- 比べるのは率ではなく手取り額:名目上の手数料率が同じでも、実費や振込手数料の扱いで最終的な入金額は変わります。年率換算は金利ではありませんが、他の調達手段と並べたり継続利用時の負担を見積もったりする物差しになります
実際の手数料水準や入金スピードは各サービスの見積もりで確認するのが確実です。各社の手数料の目安・入金スピードを比較したい方は、ファクタリング おすすめ比較から詳細をご覧ください。
※本記事の手数料の目安(2社間おおむね2〜10%)は、当サイトが掲載しているファクタリングサービス24社の公表値(下限21社・上限11社)から算出した集計値であり、公的機関が公表した相場ではありません。各社の公式サイトの確認日は、19社が2026年7月29日、2026年8月27日に追加した5社が同日です。各社の公表値は変更されることがあり、実際の条件は各社・時期・審査結果により異なります。登録免許税・印紙税の額は記事作成時点の法務省・国税庁の公表情報に基づくもので、制度改正により変更される可能性があります。司法書士報酬・振込手数料の金額は計算例のための想定値です。個別の税務・法務のご判断は、税理士・司法書士など専門家にご確認ください。契約前に必ず各社の最新情報をご確認ください。
よくある質問
2社間と3社間で手数料が違うのはなぜ?
2社間ファクタリングは売掛先への通知や承諾を経ないため、ファクタリング会社は利用者からの入金を待つ形になり、貸し倒れ・使い込みなどの回収リスクを利用者側の信用力だけで負うことになります。一方3社間は売掛先が直接ファクタリング会社へ支払うため回収リスクが下がり、その分手数料も低めになりやすいといわれます。ただしこれはあくまで一般的な傾向で、実際の料率は個別の審査によって決まります。
手数料の内訳には何が含まれる?
手数料には、審査・与信管理にかかる費用、債権譲渡登記や契約書の印紙代(登記が必要な場合)、振込手数料、システム利用料などが含まれるのが一般的です。ただし内訳の呼び方や明示の有無はファクタリング会社ごとに異なるため、見積もり時に総額と内訳の両方を書面で確認することが大切です。
債権譲渡登記の費用はいくらかかる?
登記そのものにかかる登録免許税は、法務省の公表によれば債権の個数が5,000個以下の場合で1件につき7,500円(租税特別措置法により軽減された額)、5,000個を超える場合で15,000円とされています。これに加えて司法書士へ依頼する場合の報酬が別途かかるのが一般的です。登記を行うかどうかは契約形態や会社の方針によって異なり、2社間でも登記を留保するケースがあります。
ファクタリングの手数料を年率に換算するとどのくらい?
手数料率を支払サイトの日数で割り、365日を掛けると単純な年率換算値が求められます。たとえば手数料10%・支払サイト30日なら年率換算でおよそ122%です。ただしファクタリングは債権の売買であって貸付ではないため、これは利息制限法や出資法が定める上限金利と直接比較できる数値ではありません。あくまで他の調達手段とコスト感を並べて見るための目安として使ってください。
手数料を安くするにはどうすればいい?
可能であれば3社間を選ぶ、売掛先の信用力が高い債権を対象にする、売掛金額をまとめて申し込む、複数社から相見積もりを取って比較する、といった方法が一般的にいわれます。ただしいずれも状況次第で効果が変わるため、必ず安くなるわけではありません。急ぎでなければ複数社の見積もりを比較する時間を確保するのが実践的です。
手数料が高すぎる業者はどう見分ければいい?
手数料率そのものではなく、年率換算で見てください。同じ10%でも支払サイト30日なら年率換算約122%、60日なら約61%と、負担はまったく違うためです。当サイトの実質年率シミュレーターは、年率換算150%以上を『要確認』の水準として扱っています。たとえば手数料25%・支払サイト30日は年率換算で約304%となり、この水準に該当します。該当する提示を受けたら、手数料の内訳と契約条件を書面で求め、複数社の見積もりと比較してください。あわせて、手数料の内訳を説明しない、契約書を交付しない、分割払い・据置きなど貸付に近い条件を持ちかけてくる、といった対応にも注意が必要です。金融庁も高額な手数料によるトラブルへの注意喚起を行っています(ただし金融庁は何%が高額かという基準値は示していません)。少しでも違和感があれば契約前に税理士や弁護士など専門家に相談してください。
手数料以外に見ておくべき費用はある?
契約書に記載のない出張費・キャンセル料・保証料などを別途請求されるケースがあるとされています。また振込手数料をどちらが負担するかも会社によって異なります。総額でいくら差し引かれ、実際にいくら入金されるのかを、契約前に必ず書面で確認しましょう。