実務

ファクタリングの必要書類は何点か|23社の審査時と契約時

「必要書類3点・最短即日」という表示をよく見かけます。ただ、その3点が何を指すのか、そしてその3点で手続きが終わるのかは、会社によって違います。

このページでは、当サイト掲載24社のうち必要書類を公表している23社について、公表内容をそのまま集計しました。結論を先に書くと、全社共通なのは請求書だけです。それ以外は何ひとつ揃っていません。

集計のルール

数える前に、どう数えたかを示します。表記が会社ごとにばらばらなので、集計には解釈が入ります。読む側が検証できるよう、使ったルールを先に置きます。

  1. **母数は23社。**資金調達本舗は公式サイトに必要書類の一覧が掲載されていないため、母数から除外しました(「非公表」であって「不要」ではありません)
  2. 「(契約時)」と明示された書類は、審査時と分けて数える
  3. **1つの記載が複数の書類に触れる場合は、それぞれに数える。**たとえば「請求書・見積書・基本契約書等の取引関連書類」は、請求書と成因資料の両方に数えます
  4. 表記ゆれは統合する。「身分証明書」「本人確認書類」「顔写真付き身分証」はすべて本人確認書類として数えます

以下の数字はすべて各社の公表内容にもとづきます。公式サイトの確認日は、19社が2026年7月29日、2026年8月27日に追加した5社が同日です(CoolPay のみ2026年8月9日に公式ガイドを再確認しています)。

全社共通は「請求書」だけ

審査時に求められる書類を種類別に集計した結果です。

書類 求めている会社
請求書 23/23社
通帳・入出金明細 19/23社
本人確認書類 13/23社
成因資料(契約書・発注書・納品書・見積書など) 9/23社
決算書・確定申告書 5/23社
登記事項証明書 1/23社
印鑑証明書 0/23社

**請求書だけが23社すべてで一致しました。**表記は「請求書」「売掛先への請求書」「支払期日が確定している請求書」「取引先に送付済の請求書」などさまざまですが、売掛債権の存在を示す書類という点では同じものです。ファクタリングが債権の売買である以上、売る対象を示す書類が要るのは当然とも言えます。

裏を返すと、請求書以外に何が要るかは会社ごとにばらばらだということです。「必要書類は3点」と書かれていても、その3点の中身が同じとは限りません。

決算書を審査時に求めるのは5社だけ

ここが融資との最大の違いです。審査時の必要書類として決算書または確定申告書を挙げているのは、23社中5社にとどまりました。残る18社は、審査の段階で決算書を求めていません。

融資は返済能力、つまり借り手自身の信用力を審査します。だから決算書が要ります。一方ファクタリングは売掛債権を買い取る取引なので、見られるのは主に売掛先の信用力です。利用者の決算内容の比重が下がるぶん、決算書の提出も原則不要になる——この構造の違いが、必要書類の差にそのまま出ています。赤字や税金の滞納があっても利用できる場合があるといわれるのは、ここに理由があります。

ただし例外が2社あります

集計を額面どおり受け取らないための注記です。

  • ベストファクター:このページの集計に使った必要書類欄には決算書がありませんが、**公式サイトの別ページ(手数料比較表)の審査必要書類欄には決算書が載っています。**公式サイト内で記載が分かれている状態です
  • 財務再生支援センター:基本の必要書類3点に決算書は含まれませんが、利用金額によっては決算書を求める場合があると案内されています

いずれも「5社」という数字の外側にありますが、実務上は決算書の準備が必要になり得ます。**公表されている必要書類は最低限の提示であって、上限ではありません。**実際、多くの会社が「上記以外にも資料の提出をお願いする場合があります」といった注記を添えています。

印鑑証明書を審査時に求める会社はゼロ

もうひとつはっきり出たのがこれです。**審査の段階で印鑑証明書を求めている会社は、23社の中に1社もありませんでした。**登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を審査時に求めているのも1社だけです。

ただし「不要」ではありません。印鑑証明書は**3社が「契約時」の書類として挙げています。**登記事項証明書も同様です。

つまりこれらは、審査を通るために要るものではなく、契約を締結する段階で要るものです。役所で取得する必要がある書類なので、審査通過後に慌てないよう、契約段階で何が要るかを先に聞いておくと段取りが楽になります。

「必要書類3点」は審査時の話

ここまでの話をまとめると、必要書類は審査時と契約時の2段階で見る必要があります。23社の内訳です。

サービス 審査時 契約時に追加 合計
ファクネット 1点 1点
KISマネジメント 1点 1点
トラストゲートウェイ 1点 7点 8点
メンターキャピタル 2点 2点
QuQuMo(ククモ) 2点 2点
RFD 2点 2点
besus 3点 3点
DMCファクタリング 3点 3点
Easy factor 3点 3点
KENSHINファクタリング 3点 3点
labol(ラボル) 3点 3点
OTTI(オッティ) 3点 3点
ペイブリッジ 3点 3点
ペイトナー 3点 3点
プロテクトワン 3点 3点
財務再生支援センター 3点 3点
AGビジネスサポート 4点 4点
CoolPay(クールペイ) 4点 4点
レバンタ 4点 4点
株式会社No.1 4点 4点
エスコム 4点 3点 7点
ベストファクター 5点 5点
ネクストワン 7点 4点 11点

審査時の点数は1点から7点まで分布し、最も多いのは3点(10社)です。

注目すべきは順位が入れ替わるところです。トラストゲートウェイの審査時1点は、ファクネット・KISマネジメントと並ぶ23社中の最少ですが、契約時に7点が加わって合計8点になります。同じ1点でも、手続き全体まで数えると位置がまったく変わります。エスコムも審査4点+契約時3点で7点。ネクストワンは審査7点+契約時4点で合計11点と最も多くなります。

**審査時の点数だけを見て「手続きが軽い」と判断すると、契約直前で書類集めに時間を取られます。**特に契約時の書類には印鑑証明書や登記事項証明書のような役所で取得するものが含まれるため、当日中の資金化を狙う場合は致命的になり得ます。急ぐ場合の段取りは即日ファクタリングのガイドにまとめました。

なお、契約時の書類を公表しているのがこの3社だけである、という点にも注意してください。**他の20社に契約時の追加書類が無いとは限りません。**公表していないだけの可能性があります。

「成因資料」とは何か

集計表の中で、名前だけでは中身が分かりにくいのが成因資料です。23社中9社が審査時に明示的に求めています。

成因資料とは、その請求書が実在の取引から生まれたものであることを示す資料です。会社によって呼び方が違い、実際の記載は次のように分かれます。

  • ネクストワン:「成因資料(契約書・納品書・注文書・発注書等)」
  • ベストファクター:「見積書」「基本契約書(取引先との契約関連書類)」
  • 株式会社No.1:「発注書・納品書」
  • プロテクトワン:「請求書・見積書・基本契約書等の取引関連書類」
  • ペイブリッジ:「お手元の請求書・見積書・発注書」
  • ラボル:「取引先とのメール等の取引証跡」

請求書は、極端に言えば自分で作成できる書類です。だからファクタリング会社は、その請求書の背後に本当に取引があるのかを別の資料で確かめます。注文があり、納品があり、その対価として請求が発生しているという流れを裏づけるのが成因資料の役割です。

ここで重要なのは、成因資料が「多いほど有利に働く」と明言している会社がある点です。ラボルは提出するエビデンス(審査資料)について「提出するエビデンス(審査資料)が多いほど審査の通過率が上がります」と注記しています。必須の点数を満たすことと、審査を有利に進めることは別だということです。

また、成因資料の受け取り方には幅があります。契約書や発注書のような正式な書面を挙げる会社もあれば、ラボルのようにメール・Slack・LINE・Chatwork といったやり取りの記録を認める会社もあります。書面が残っていない取引でも、やり取りの記録があれば通る可能性があるということです。逆に、取引先とのやり取りが電話だけで記録が一切残っていない場合は、この段階でつまずきます。申し込みを検討する時点で、やり取りの記録を探しておいてください。

通帳と本人確認書類の例外

残り2つのカテゴリにも例外があります。

通帳・入出金明細は19/23社が求めています。例外はラボル、トラストゲートウェイ、ファクネット、KISマネジメントの4社です。ファクネットとKISマネジメントは公表している必要書類が請求書1点だけで、通帳を含むほかの書類の記載自体がありません。ラボルの必須書類は本人確認書類・請求書・取引証跡の3点で、通帳はそこに含まれません。ただし公式は取引証跡(エビデンス)の具体例のひとつとして通帳の入出金履歴を挙げているので、**「通帳が使えない」ではなく「通帳でなくてもよい」**と読むのが正確です。メールやチャットの記録でも代替できる設計になっています。

本人確認書類は13/23社です。挙げていない10社について、本人確認をしないという意味ではないでしょう。申し込みフォームや契約手続きの中で実質的に確認していると考えるのが自然で、公表されている必要書類の一覧が手続きのすべてを網羅しているわけではないことの表れと見るべきです。

申し込み前にそろえておくもの

以上から、実務的な準備は次のようになります。

  1. 請求書(23社すべてが求めます。まずこれ)
  2. 通帳または入出金明細(19社が求めます。直近3か月分を指定する会社があります)
  3. 本人確認書類(顔写真付きを指定する会社があります)
  4. 取引の裏づけ(契約書・発注書・納品書・見積書、あるいはメール等のやり取り。9社が明示的に求めます)

ここまでで大半の会社の審査書類は満たせます。そのうえで、申し込み先に次の2点を確認してください。

  • 決算書が要るかどうか(5社+例外2社)
  • 契約時に追加で何が要るか(特に印鑑証明書・登記事項証明書)

手数料の公表状況については手数料を公表している会社は何社かで、回収できなかったときの責任の所在についてはファクタリングの償還請求権とはで、それぞれ同じ24社のデータを別の角度から整理しています。契約前に確認すべき条件の全体像はファクタリングとはをあわせてご覧ください。

**書類の点数は、審査の通りやすさとは関係ありません。**通過率を数値で公表しているのは24社のうち8社で、16社は非公開です。公表されている値も定義や集計期間がそろっておらず、書類の点数と結びつける根拠にはなりません。点数は準備にかかる時間を見積もるための材料として使ってください。手数料の水準そのものはファクタリングの手数料相場で、支払サイトを踏まえた実質的な負担は実質年率シミュレーターで確認できます。詳しくはファクタリングの審査通過率で24社分を整理しました。

「公表された一覧=要求のすべて」ではない

最後にもう一度強調しておきます。この記事の集計は公表されている必要書類を数えたものであって、実際に求められる書類の全量ではありません。

多くの会社が一覧に注記を添えています。たとえば CoolPay は初回4点・2回目以降2点を示したうえで「上記以外にも資料等の提出をお願いする場合があります」としています。集計上「2点」の会社が、案件によっては5点求めることもあり得ます。

したがって点数の比較は、準備の初期見積もりとしては役に立ちますが、確定した所要としては使えません。売掛先の規模、取引の履歴、申請金額によって追加要求は変わります。特に初回申請は、実績が無いぶん追加資料を求められやすいと考えておくのが安全です。

なお本ページの集計は各社の公表内容にもとづくもので、実際に求められる書類は案件ごとに異なります。多くの会社が追加資料を求める可能性を注記しています。各社の表示は更新されますので、申し込み前には最新の案内をご確認ください。

よくある質問

ファクタリングの必要書類は最低何点ですか?

当サイトが掲載23社の公表内容を集計したところ、審査時に必要な書類は最も少ない会社で1点、最も多い会社で7点、最も多かったのは3点で10社が該当しました。ただし点数の少なさだけで選ぶことはおすすめしません。審査時が1点でも契約段階で7点を求める会社があり、手続き全体で見ると点数の順位が入れ替わるためです。申し込み前には、審査時と契約時の両方について何が必要かを確認してください。

全部の会社が共通して求める書類は何ですか?

請求書です。集計した23社すべてが、審査時に請求書またはそれに相当する売掛金額が確認できる書類を挙げています。表記は「請求書」「売掛先への請求書」「支払期日が確定している請求書」「取引先に送付済の請求書」などさまざまですが、いずれも売掛債権の存在を示す書類という点では同じです。逆に言えば、請求書以外に何が必要かは会社によってまったく違うということでもあります。

ファクタリングに決算書は必要ですか?

多くの会社では審査時には不要です。集計した23社のうち、審査時の必要書類として決算書または確定申告書を挙げているのは5社にとどまりました。このほかに、公式サイトの別ページの審査必要書類欄に決算書が載っている会社が1社、利用金額によっては求める場合があると案内している会社が1社あります。決算書が原則不要である点は、決算内容の審査を前提とする融資との大きな違いです。

印鑑証明書や登記簿謄本は必要ですか?

審査の段階で印鑑証明書を求めている会社は、集計した23社の中にありませんでした。ただし3社が「契約時」の書類として印鑑証明書を挙げています。登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を審査時に求めているのは1社のみで、こちらも契約時の書類として挙げている会社が別にあります。つまりこれらは審査を通るために要るものではなく、契約を締結する段階で要るものだと理解しておくとよいでしょう。

「必要書類3点」と書いてあれば3点だけで完了しますか?

そうとは限りません。当サイトの集計では、審査時の書類とは別に契約時の書類を公表している会社が3社ありました。それぞれ契約時に3点、4点、7点が追加されます。特に審査時1点だけを求めている会社が契約時に7点を求めており、手続き全体では8点になります。「必要書類◯点」という表示が審査時のものか手続き全体のものかを確認しないと、契約直前になって書類集めに時間を取られることになります。

書類が少ない会社ほど審査は通りやすいですか?

そう判断できるデータはありません。当サイトが集計したのは公表されている必要書類の点数だけです。審査の通過率については、24社のうち8社が数値を公表し、16社は非公開としていますが、公表されている8社の値も第三者の検証を経たものではありません。書類が少ないことは提出の手間が軽いことを意味しますが、審査が緩いことを意味しません。提出書類が少ない場合、その分だけ限られた情報で判断されるとも考えられます。点数は選ぶ基準ではなく、準備にかかる時間を見積もるための材料として使ってください。